ホームレス夢泣
あとがきより
Gさんは会長の腰巾着で総務部長まで出世した。金と時間の余った会長は放蕩三昧だった。G部長の仕事は会長のおともである。ウイークデーは大井、船橋、浦和、川崎の地方競馬だった。土日は中央競馬に毎日のように顔を出す。ある筋からの情報が入り、1レース五〇〇万円賭けた時は心臓が縮む思いだった。さすがのGさんも震えた。
勝っては銀座の倶楽部で豪遊、負けては赤坂でハシゴした。この桃源郷もバブルがはじけるまでのおとぎ話。強引な取り立てに追われた会長はノイローゼになり、あっけなく首を吊った。会長の競馬狂が伝染したGさんがマイホームを失い、妻子からも見捨てられるのは時間の問題だった。
ホームレスになっても、元部長の傲慢さが鼻につく。昔の自慢話、命令調が仲間の反発を買い、寝ているところをおそわれリンチを受けた。現在病院の天井を仰ぎながら昔の栄華の夢を追っている。
著者
大石 太 著
発刊
2001(平成13)年3月
サイズ
価格
定価 1,362円
ISBN
 4-88159-714-0
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