めったに降らない東京の雪に、両足をもがれて案山子になった冬童話である。
Aさんは酒好きである。例のごとく軒下に寝込んでしまった。運悪く降ってきた雪が下半身を埋めた。Aさんはそれでも朝方まで気が付かなかった。凍傷にかかっているのは知っていたが、金が無いのでそのままほっておいた。足が黒ずんできて無感覚状態になった。医者に見せた時は、命が危ないと、即両足切断。リハビリと歩行訓練の結果、なんとか歩けるようになった。Aさんの身体障害者手帳には次のように記されている。「凍傷による両下腿1/2以上欠損(2級)」。
五体満足でアオカン生活がいいか、福祉手当入って、今のアパート生活の方がいいか聞こうと思ったが、ムゴくて聞きそびれてしまった。