漁村旅情
まえがき
本書は二つの部分に分れる。
第一部は、さきに出した「漁村再訪の旅」(平成五年、創造書房)のいわば続編、あの時載せられず残していたもの、それが気になっていたが此度ようやくまとめることができた次第。
第二部は、昭和二十年代、つまり一九四五年から十年余の間、それは丁度終戦、あの廃墟の中から人々は占領下貧困に耐え、乏しい食糧に苦しみながら必死になって日本の復興、再建に立ち向っていた時期であった。その頃漁村においても同様に戦争の痛手から立ち直り、生きるべく懸命に働いていた、その人々のさまざまな姿、さりげない日常の姿などを捉えたものである。
漁村の人々といっても、沿岸、沖合、遠洋など漁業の形態、規模も全く多様であり、それに携わる人々の姿もまた大きく異なる。しかしそのさきざまな姿を通じてあの時期の漁村の人々の全体像が浮かび上がってくる。
写真をじっとみているとあの頃出会った人々の話し声や匂いまでもが伝わってくるようである。そして、あのひとびとが戦後の漁村を築いたのであり、それが今に受け継がれ、やがて二十一世絶へと続くのであろう。
掲載のスケッチ、写真はまことに稚拙ながらすべて筆者の作。老骨今や喜寿、あの頃の漁村の人々への懐かしさ、いささかの感傷をこめてまとめた次第である。

著者
小沼 勇 著
発刊
1996(平成8)年11月
サイズ
 
価格
定価 2,777円
ISBN
 
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